金融機関の担当者との付き合い方を教えて‼建設業編

金融機関の担当者との付き合い方を教えて‼建設業編

建築工事の現場は必ず見られます

融資審査の現場では、本当に建築工事をしているか現地調査を行います。
建築工事の融資は工期に合わせて工事代金の回収金で一括返済とすることがセオリーです。時々、工期が延長となり、融資の返済期日を延ばすことがあります。その時は尚更厳格に現地調査を行います。
それはなぜか。本当は完成してお金を受け取っているのに融資の返済をせず他に流用されることを回避するためです。
私も融資審査の現場で資金流用されるのを何度も見てきました。
こういうことがあると、金融機関の担当者との信頼関係が一気に崩れます。二度と融資を受けることが出来なくなります。資金流用は絶対にしないでください。

 

工事代金の入金口座は必ず融資を受けている金融機関を指定しよう

先に触れた資金流用を回避するため、金融機関は必ず工事代金の入金口座を自分のところにするよう求めます。何も問題がなければその通りにしましょう。
実は融資を出すよりも回収する方が大変だったりします。実際に回収の現場では、約束の期限に返済がないと督促が行われますが、思うように進まないことがあります。その中には普段社長とは疎遠で連絡が取りづらくなっていて、そして社長がことの重要性に乏しいというケースがあります。金融機関からの連絡にはすぐに対応しましょう。仮に連絡が取りづらくなっていても、工事代金の入金口座が自分のところにあれば、資金の動きを把握することができますので金融機関の担当者としては安心できます。

 

工事台帳から、決算時点の契約金額、工期、出来高、前受金額、未収金額、残金の入金予定を分かるように一覧表を作成しよう

建設業特有の資料として、金融機関の担当者に会社の決算書を渡すと、工事台帳を基にして、契約金額、工期、出来高、前受金額、未収金額、残金の入金予定を一覧にした「受注工事の明細表一覧」を求められることがあります。それは、決算書と工事の進捗状況との整合性を確認するためです。当然資料をもとに現場の確認もされます。決算書との不一致が大きくあると粉飾が疑われたりしますので注意が必要です。
この「受注工事の明細表一覧」は、融資審査や、実態財務を把握するうえで大きな役割を担っています。私の個人的な感覚ですが、建設業の融資審査は他の業種と比較してより詳細に財務の実態を見る傾向にあると思います。
「受注工事の明細表一覧」はイメージするとこんな感じです。未収金額と契約残金が今後いつ入金になるかという表です。

工事名

契約金額
(A)

工期

出来高
(%)

出来高
金額(B)

〇〇工事 1,000千円 〇/〇~〇/〇 100 1,000千円
〇〇工事 800千円 〇/〇~〇/〇 80 640千円

 

受領金額
(C)

未収金額
(B-C)

契約残金
(A-B)

入金予定  
〇月

入金予定  
〇月

入金予定  
〇月

600千円 400千円 0 200千円 200千円
200千円 440千円 160千円 600千円

 

建設業への融資は金融機関の取扱い金額が大きい部門のひとつです

建設業は、日本の経済に大きく影響を与える業種です。当然、融資の需要は旺盛です。金融機関の業績にも大きく寄与します。きちんと工事をする建設業者であると金融機関で認識されると金融機関のお客様を紹介してもらえることもあります。実際私も私自身が信頼できると思った建設業者を紹介をしたことがあります。
私がいままで融資担当してきた業種で、一番ウエルカムだったのは建設業でした(ちなみに2番は不動産業でした)。ざっくり不動産系の業種は昔も今も融資金額の大きい業種だと思います。
余談ですが、バブル景気で土地の価格がどんどん上がっていた時は、不動産業・建設業はイケイケ状態で土地仕入れから建売で売るまで短期間であっという間に利益をあげていました(もうバブル景気を知る方はあまりいないと思いますが…)。しかし、当時の大蔵省から金融機関に不動産の取引を制限する総量規制という行政指導(もうこれも知る方はあまりいないと思いますが…)が行われて、今度は土地の価格があっという間に下がってしまいました。あれから本当に景気の低迷が始まったんだと思っています。